東のエデンの結末を解説
No.1のセレソン・物部大樹は、No.2の辻仁太郎、No.10の結城亮と結託し、「戦後からやり直す計画」と称し、60発のミサイルを日本に発射することを滝沢に告げる。
さらに物部は、滝沢がかつて救った人々と、共に避難誘導を行った仲間たち、その両方から裏切られていた事実を突きつける。ここで初めて、滝沢が記憶を消した理由が“絶望”だったことが明かされる。
その頃、コンテナで輸送されていた2万人のニートたちが、豊洲のショッピングセンターへとなだれ込んで来る。
そこへ「東のエデン」のメンバーたちも集結。
滝沢の過去、そして物部たちの計画を知った彼らは、事態を止めるため動き出す。
そして滝沢は、2万人のニートたちへ向けて「60発のミサイルを止める方法」を東のエデンサイトへ書き込むよう指示。
ジュイスは、その膨大な投稿の中から最適解を抽出。
結果、日本へ向かっていた60発のミサイルは迎撃に成功した。
滝沢 朗はなぜ王様になったのか?
滝沢はミサイルを迎撃した後に、ジュイスに「この国の王様にしてくれないか」と言う。
この国の頭の良い人間(政治家など)は、事態の収集の為に、わざわざ損な役回りをしないと滝沢は理解していたため、自分が王様となり国を背負う覚悟を決めたのである。
そして最後に、滝沢はジュイスへもうひとつの願いを託す。
その直後、どこか聞き覚えのある着信音が鳴り響き、物語は幕を閉じる。
数多くの謎を残しながらも、その先を想像したくなるような印象的なラストだ。
しかし物語はそこで終わらず、その後を描く完結編として、劇場版2部作が公開されている。
現在は各種配信サービスでも視聴可能なので、TVアニメ版を観て気になった方にはぜひ続編も観てほしい。
東のエデンの世界はと攻殻機動隊と地続きだった
実は本作『東のエデン』は、同じく神山健治監督による『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』シリーズと世界観が繋がっているとされている。
11発目のミサイル
結城亮によって放たれた11発目のミサイルは、旅客機へ直撃。
乗客乗員234名が死亡する大惨事となったが、奇跡的に6歳児2名が生還していた。
その2人こそ、『攻殻機動隊S.A.C.』の主人公・草薙素子と、『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』に登場するクゼ・ヒデオだったのである。
神山健治監督の目に映る日本の社会とは
本作で印象的だった言葉のひとつに、「上がりを決め込んだオッサン」というセリフがある。
これは、若い世代の文化や価値観に脅威を感じながらも、社会的な優位性を示し、それを阻害する中年世代を表現した言葉だ。
そこで若者たちが全員ニート化してしまえば、上がりを決め込んだおっさん達が自ら頭を下げてくるのでは無いかと考え、ニートvsオッサンという対立構造が出来上がったのだ。
神山健治監督は攻殻機動隊の時から「今と未来」をテーマに洞察に満ちた物語を描いていると感じていたが、本作『東のエデン』では、若者と中年世代で広がり続ける価値観のズレを見事に表現しエンタメに落とし込んでいる。
そして、その対立を乗り越えるヒントこそ、この作品には散りばめられているのではないだろうか。
国を変えることは、ひとりではできない。
だが、もしニートとオッサンが手を取り合えたなら――閉塞感に覆われた社会も、少しずつ変わっていくのかもしれない。
Nobless Obilge(ノブレス・オブリージュ)