今回紹介するのは、2014年にフジテレビのノイタミナ枠で放送されたオリジナルアニメ『残響のテロル』。
「この世界に、引き金をひけ。」という鮮烈なキャッチコピーの通り、少年たちがテロを起こすという衝撃的な題材で大きな話題を呼んだ作品だ。
しかし、本作で描かれているのは単なる過激さだけではなく、人間の孤独や痛み、社会への問いかけを繊細かつ緻密に描いたストーリーが存在している。
今回は、そんな『残響のテロル』を、キャストや音楽、物語の解説なども交えながらレビューしていく。
残響のテロル
原案・監督|渡辺信一郎
音楽|菅野よう子
アニメーション制作|MAPPA
放送|2014年
話数|全11話
残響のテロルの作品情報
あらすじ
ある暑い夏の日。
元警視庁捜査一課の刑事・柴崎は、左遷先である文書課で漫然とした日々を送っていた。
そんな中、同僚が観ていた動画投稿サイトに、スピンクス1号・2号と名乗る人物たちによって意味深な動画が投稿される。「新宿方面では、ところによりでっかい花火があがるでしょう」— —。
犯行声明とも取れるその言葉に、柴崎は刑事としての勘から不穏な気配を感じていた。
そして、突如起こった都庁での大規模爆破テロ。日本中を震撼させたこの事件の犯人は、たったふたりの少年だった。
さらにスピンクスは新たな動画を公開し、なぞなぞに答えられなければ再び爆破をするという挑戦的な犯行声明を世間へ突きつける。
彼らの目的とは一体何なのか。
事件の真相を追う柴崎だったが、その先には、国家を揺るがす闇が待ち受けていた— —。
残響のテロルのキャラクター
ナイン(九重 新)
本作の主人公。17歳。頭脳明晰で常に冷静。ツエルブと共に青森の核燃料廃処理施設からプルトニウムを強奪する。姿を眩ましてから半年後、東京で九重新という偽名を使い、普通の高校生として暮らし始める。その真の目的は不明。
ツエルブ(久見 冬二)
本作のもう一人の主人公。17歳。明るく無邪気な性格。ナインと同じ経緯で、久見冬二という偽名を使い高校生として暮らし始める。常にナインと行動を共にしているが、いじめを受けている三島リサのことも気にかけている。その真の目的は不明。
三島リサ
本作のヒロイン。学校ではいじめを受け、家庭では精神的に不安定な母親からの過干渉に苦しむなど、孤独な日々を送っている。しかし、ナインとツエルヴに出会ったことで、彼女の運命は大きく変わることになる。
柴崎健二郎
警視庁文書課に所属する刑事。。かつては捜査一課の敏腕刑事として活躍していたが、ある事件をきっかけに左遷されてしまう。しかし、その洞察力と刑事としての嗅覚は今なお健在であり、スピンクスの動画に誰よりも早く違和感を抱き、事件の真相を追っていく。
ハイブ
アメリカ政府からFBIと共に派遣された、核研究支援隊(NEST)所属の原子力科学者。その素性はトップシークレットとされており、警察内部でも正体を知るものはごくわずかしか存在しない。ナインとツエルブとは過去に面識があるようだが、彼女が日本へやって来た真の目的は謎に包まれている。
残響のテロルの監督
原案・監督|渡辺信一郎
アニメ『残響のテロル』の原案・監督を務めるのは、京都府出身のアニメ監督、渡辺信一郎。1994年『マクロスプラス』で監督デビューを果たすと、1998年には『カウボービパップ』を手掛け、卓越したセンスと映像演出によって国内外でカルト的な人気を獲得した。
本作『残響のテロル』は、渡辺監督が長年温め続けていたオリジナル企画の一つであり、なかなか実現に至らなかった中、フジテレビから声が掛かったことで、5年以上の歳月を経てようやく形になった渾身の作品である。
完全オリジナルストーリーとして制作された本作は、テロというセンセーショナルな題材を扱いながらも、青春劇としての側面も色濃く描かれており、観る者の心を強く惹きつける。
「昔から、余韻が残る作品が好きなんです」
アニメ『残響のテロル』公式サイトより
監督自身がそう語るように、本作は社会へ鋭い問いを投げかけながら、その名の通り、深い残響を人々の心に残す1作となっている